あやめさんの備忘ログ

交通系に関するアレコレとblenderの勉強記です

免許の学科試験、今の現状で良いのでしょうか?【後編】

あやめさんです。

前回の記事では、実際に学科試験の過去問を解いていたときの出来事を解説し、疑問に思ったことを記しました。

 

後編では、「今現在の日本の免許制度は、本当に現代に合ったものなのか?」をテーマに考察と解説をしていこうと思います。

 

あと、タイトルに「学科試験」とありますが、これは厳密に言うと「教習所等で教えること」も含まれています。

 

 

さて、私は元々はトラックドライバーとして日々公道を走行しておりました。

そこで前々から思っていた事が有りまして、それは

「一般ドライバーの運転意識めちゃくちゃ低くない??」ということです。

 

例えばですが、左折時。

皆さんは左折時の正しい運転操作の方法を答えられますか?

「左折しようとする交差点の30メートル手前から方向指示器又は手信号により合図を行い、左に寄せて左折を行う。」

が概ね正解となります。

しかしどうでしょう。

30メートル手前から合図を行う人はまあそこそこいる気はしますが、私が日頃運転という職業を行っている中で「左に寄せる」という動作を行う人を見るのは極めて稀です。

それどころか、所謂「煽りハンドル」と呼ばれる逆方向にハンドルを切ってから左折する愚か者の方が遥かに多いという現実。

この煽りハンドル、左折の際に2輪などに内輪差に入り込まれる隙が生まれてしまうのもそうなのですが、対向や第二通行帯を走行する大型車にとってこれとないくらいの危険になるわけで。

何度か急ブレーキ踏まされたこともあります。

 

※余談

私個人としては、「交差点の30メートル手前ではなく、交差点の30メートル手前ないし、速度が出ている時はブレーキを踏むよりも先に合図を出す」という風に道交法を改正して欲しいと思いますが…それはまた別の機会に。

 

一般道のオーバーパスやアンダーパス、高速道の坂道に於いてもやたら「波状運転」が原因による「追い越し妨害」に逢うことがやたら多かった。

社速が定められているトラックでは、当然一般道は法定速度、高速道は80km/hという制限があります。

がしかし、時間にも常に追われているのでやはり社速めいいっぱいで走ってないといけないという事情もある。

そして大型車は当然、重い。すなわち、1度減速したら再度加速するのにも時間を要するわけです。

だから下り坂や緩やかな上り坂程度ではトラックの運ちゃんって速度誤差±5km/h以内で走るんですね。

※重すぎて登らない急坂は例外

そこで、例えば緩い上り坂。運転意識のないやつはアクセルを一定に踏んでればいいと考えているから、そりゃ普通に10km/hとか20km/hくらい平然と失速してるわけです。

それをトラックで抜こうとすると、所謂「トラックに抜かれたくない病」を発症させてタチの悪い奴だと併走したりするんです。

 

これね、知らない人多いみたいだけど立派な違反ですよ????

くだらない速度超過とか煽り運転ばかり取締してこれを取締しない警察にもかなりの落ち度はあると思いますが。

 

 

さて、私が現場をよく観察して受けた印象のうちの二つを紹介しました。が、たった二つ紹介しただけでもこれだけの愚痴が出てくるってもんです。さらに言うならばキリがないくらい今の交通状況には不満を持っています。そしてこの交通状況はここ4~5年で急速に悪化したように感じます。

事故件数とかには繋がっていないとは思いますが、明らかにおかしい挙動をするドライバーが増えました。そのうち、えげつない程の重大事故が起きるのではないかと私は危惧しています。

 

そしてそれは何故なのか?と言ったところを考えてみたわけです。

私が考えるに原因は幾つかあるので挙げてみると、

 

①免許を取得、更新する際の免許制度の構造の問題

道路交通法が時代遅れなものになりつつある

③警察が歪な取締指針で取締をしていること

④クルマの構造や性能の変化に対して適応出来ていない人が多い

⑤そもそも少子高齢化

 

といったところです。

全てを紹介してしまうと表題から脱線してしまうので、今回は①免許を取得、更新する際の免許制度の構造の問題について語っていこうと思います。

ちなみに、私が挙げた原因の中でも①と②、②と④は結構紐づくものがある。

なので、②についても多少触れていきます。

②と④についても、結構思うことがあるのでこれも今度記事にしたいと思います。

 

さて、昨今の免許制度。

免許を新規に取得する場合は、指定教習所で実技を学んで検定を受けて合格する場合と、各都道府県の定める免許センターで所謂「一発試験」を受けて合格するパターンがありますが、どちらも共通して言えることが「学科試験を受けなければならない」ということ。

この学科試験というのは免許センターなどで実施しており普通一種、各二種免許の取得等で受けなければならないものなのですが、私はこの学科試験そのものが運転者の運転意識の低下の原因に繋がっているものと考えています。

 

何故なら、この学科試験。道交法や車両特性のテストと言うより、「国語のテスト」だからです。

更に言うと、設問は前回の記事でも書いたように、「出題者の意図」で回答が決まってしまっている。

 

このような試験方法では道路法規や車両の構造、特性が頭に入ってくるとは思えないのである。

確かに、左折する手前の距離が秒に起きかわっていたりそういう引っ掛け問題もあるにはあるのだが。

 

唯文章を読ませて正か誤か、そのやり方自体が誤っていると私は思います。

確かに、毎日数百人という人数の回答をまとめ無ければならないのでマークシート方式でないといけないというのは解るのだが、他にやりようあるだろ。

 

それを言ったら学校の入試だってマークシート方式が採用されている所もあるが正か誤かだけの入試だなんて見た事ない。

 

例えば、こういう設問があるとしよう。

 

「自動車は、左折しようとするとき、左折しようとする3秒前から合図を行わなければならない。」

 

まあ当然この設問は×である。

(右左折時の合図のタイミングは30メートル手前)

 

正しく知識が頭に入っているならば誰でも即答で×と答えられる設問ですが、この設問には欠点が2つあります。

まず、正か誤を問うだけの設問だと人の心理として脳にインプットしづらいということ。

真面目に勉強しているのなら別であるが、大体の人はただ「免許欲しい」くらいにしか思ってないわけです。そう考えると、正か誤を問うだけの設問だと「その試験に合格した段階で記憶から消去されてしまいやすい」事になります。

 

もうひとつの欠点は、この手の問題は似たような設問がもう1問出題される可能性が低いということ。

 

つまり、左折の手順として正しいのは「左折しようとする交差点の30メートル手前から合図を出し、二輪車等のすり抜けを防止する為に左に寄せて左折を行う」ということになるのだが、この設問だけ出題されると「二輪車等のすり抜けを防止するために左に寄せて左折を行う」という部分だけが出題されない可能性が高くなってしまうということになる。

※まれに出題されるパターンもあるようですが、過去問と何度か実際の試験を受けた私の経験上殆どありませんでした。

 

因みに違反切符である青切符の違反チェック欄には「右左折時の進行方向への寄せ不履行」みたいな欄がある。(文章はうろ覚え)もっとも、これで検挙されている例を見た事がないが。

 

つまるところ、免許を欲しいという意識だけ持ってる一般人にはこの手の設問では正しい知識は身につかないということになるのです。

 

実際記事冒頭でも述べたように左折時にしっかり左に寄せて曲がる人はほとんど見たことがありません。

 

これが欠陥と言わずして何と言うのか…

 

 

人の心理として正しくインプットさせるとするなら、せめてこういう設問にすべきという例題を作ってみます。

 

Q.以下の文章の□に入る正しい文章を選べ。

「交差点を左折するときは、□※1合図を出し、□※2から左折を行う。」

※1

A.交差点の30メートル手前から

B.左折を行おうとする3秒手前から

C.交差点の直前

 

※2

A.二輪車のすり抜け等を防止するため左に寄せて

B.内輪差で接触することを避けるため右にハンドルを切って

C.指示器を見た二輪車はすり抜けしてこないが右に寄せると対向車に危険を与える可能性があるので信仰している車線の中央

 

このような「穴埋め式」にすべきであると私は考えます。

 

回答者の心理として、「選択肢を与える」ということは「考えて頭にインプットする」キッカケを作るものです。加えて正か誤かを選ばせる設問よりも選択肢が増える分、運任せにマークシートにチェックを入れてまぐれで合格してしまう確率を減らすことが出来るというメリットもあります。

 

あとTwitter……もといXでも度々話題になる、

「夜の道は危険なので、気をつけて運転しなければならない」

この設問×で、昼間でも気をつけて運転しなければならないというインチキにも程がある設問なのだが、こんな設問で受験者の興を削ぐようなやり方をしていたらより一層運転意識は低くなる。

 

そして前回の記事でも書いたような、「出題者の意図で〇×が決まってしまう」設問も当然だがアンフェアなものであると判断できると思います。

実際に出題する設問の一つひとつは、今でも厳正な審議の元で定められているものだとは思いますが現場の意見を取り入れるなどする努力は圧倒的に足りないと思います。これについては、自動車業界に限った話ではないですが。

 

こんな事ばかりやってるから、国民の運転意識は高まらない原因の一つになってるのでは?と私は考えています。

 

そして免許の更新についても。

優良運転者区分など色々ありますが、これも基準を変えなければならないと思います。

何故なら、ペーパードライバー(ちっとも運転しない人)でも優良運転者と認定を受けてしまうから。

日曜とかだけ運転するサンデードライバーにも言えることですが、下手なのはしょうがないとして守るべきルールは守らなければならないものでしょう。

しかしそういう人に限って運転意識を持ってる人はほとんど居ないように思えます。

 

私もつい先日二種免許をとるに当たって優良運転者となりましたが、このように日頃から運転を職業としている私とそんなサンデードライバーが同じ「優良運転者区分」が一緒なのはいささかアンフェアではありませんか?

 

区分の判断材料が今の制度や技術では自動で判別不能としても、せめて年間走行距離くらい「自己申告制」等にして区切る方が良いと思うんですよね。

もちろん嘘の申告をした者に対しては厳罰を課した上で、ですが。

 

そこでも違反者講習や高齢者講習同様に、ペーパードライバー講習をすることも義務付けた上で理解度が無いものに対しては再試験を課すくらいのことはやらないと意味が無いと思います。

指定教習所なんかでは今自主的にペーパードライバー講習してるとこもありますが、こういうことはしっかり国が管理してやらなければならない部分だと思います。

何せ日本人は役所だとかに丸投げして自分はやらないってスタンスのヒトが多い国民性なので。

※日本人をdisってるわけではない。それはそれの良さもある。

 

逆に言えば、国や国交省、警察機関が連携して正しい法整備をすればそれに従う人が大半になるわけなので、事故や違反はかなり減るということです。

 

 

さて、もうちょっと続きますよ。

 

①と紐づけられる②道路交通法がそもそも時代遅れな点も少しだけ触れていきます。

これは教習所等でも教えるべきこと、と私は思う点でもあります。

 

どういう事かと言いますと、

公共の道路である以上、法規外でのマイナールールが存在する

ということなんですよね。

私はこのマイナールールについて、公共性があるものについては道交法に組み込んだ上で運用するのが良いのでは無いかと考えています。

 

※地域ごとにあるようなマイナールールは除く

 

例えば、高速道路走行時、ほぼ全国共通かな?でこんなマイナールールがある。

 

①走行車線走行中、合流から入ってくる車や、追い越し車線から戻りたがってるトラック等に対してライトカットして譲る。(この場合は夜間)

②追い越し車線走行中、遅い車が居た時に右ウインカーかパッシング(やり過ぎないこと。また車間詰めると煽り運転になりかねない)で急いでるので先に行かせてくださいのサインをする。

③渋滞末尾や前方異常発見時にハザードランプを点灯させ後続に伝える。

 

はい、③はマイナールールじゃないだろと思ったそこの貴方。半分正しい

実は③、これは今でこそ色んなとこで啓発運動がされている訳ですが、実はこれもマイナールールです。

教習所に直近で通った事のある人は聞いたことがあるかもしれませんが、これは東名高速が渋滞するようになってから、追突事故を防止するために神奈川県警が考え出したルールで、その名残で今はNEXCOなどが啓発しているのです。

 

なのでこれは実質マイナールールと言えます。

 

また、一般道においては

 

①低速でしか走行出来ない状況下で、後続のクルマが渋滞していた場合左ウインカーを出して左に寄り後続車を譲る

②(夜間)登り坂頂上付近での信号待ち時、ヘッドライトを消して対向車の幻惑防止(ポジションランプは付けておき自車がいることはアピールする)

 

等が挙げられます。

②に関しては最近オートライトとかいう非常に迷惑な装置が義務付けられてしまったので出来なくなってしまった車両もあります。嘆かわしい…

 

こういった気遣いは非常に大事なものになります。

①は私がトラックで精密機器運んでる時など時間に余裕があるときはやってました。何でかというと、後続が渋滞になるということは迷惑になると言うだけでなく、先頭にいるはずの自分が進行できなくなってしまう恐れがあるのです。これについては、そのうち書こうと思ってる思いやり運転の記事あたりで紹介しようと思います。

 

こういったマイナールールを寧ろ道交法で取り込んでしまえ、ということです。仮に取り込めなかったとしても、警視庁からの啓発運動等があれば教習所で教える事が出来るようになります。

 

なぜこのようなことを言うのかというと、事故防止の観点もそうですが近年話題になりやすい「煽り運転」の発生機会を大幅に削減できると私は考えているからです。

特に高速道路に於いては残念なことに右車線、要するに追い越し車線を走り続けるドライバーが一定数います。(当然この行為も違反です。追い越しを終えたら速やかに走行車線に戻らなければなりません。)

 

こういったドライバーに対する対処が現状、そこに居合わせた覆面パト等が取り締まるしか無いわけです。

しかしこれも残念な事に、取締の対象になることがあまりありません。(但し、最近は強化している県警などもあるそうです)

 

そうなると遅いのに退かない先行車を追い抜く為には左車線を使って追い越しをかけるか、車間を詰めて圧をかけるか、右ウインカーないしパッシングでどいてくれと合図するしかないわけです。

 

しかし現状、そんなバチバチに煽ってる訳でも無く、普通に軽くパッシングしただけでも追い越し車線に居座る側が煽られたと感じたら煽り運転として扱われてしまうという事なのです

 

それはあまりにも不公平ではありませんか???

なら、国がやる事はその「マイナールール」を合法化するなどして、報道機関等に「パッシングや右合図は進路を譲ってくださいの合図である」と周知することが大切なわけです。

 

そうすれば不公平な煽り運転による検挙を避けることが出来ますし、右車線に居座るドライバーも減らせるわけです。

 

そうする事で、事故防止や渋滞防止だけでなく余計なトラブルの発生を抑制することが出来るというメリットもあります。

1番平和的な解決方法だと思います。

 

 

要するに私が言いたいのは、

国及び関係機関が一丸となって国民性と時代のニーズを理解して、それに見合った免許制度と道交法を作っていかなければならない。

 

ということなのです。

 

最後に…

この記事は私が実際「公道」という現場に出て見た事感じたことを「主観」で書いた記事です。

人によっては受け入れられる、受け入れられないとか間違ってるとか思う人も居ると思います。

自分が正しいと思っている訳でもありません。

しかしこれだけは言わせて頂きたいなと思うのは、

弱者だけが優遇される社会ではいけない

という事です。

そういう私も実は言うと精神障害2級を所持している立場ではあるのですが、確かに享受するべきことはしています。但し、それは「生きる上でのハンデを少なくして頂いている」という考えであって、「優遇しろ」なんて思った事はありません。

道路上に於いても同じ事が言えます。

やれ運転が下手だからとかトラックが国の血液なんだとか、終いには「煽られたと感じたら煽り運転になる!!」みたいな考え方は言語道断です。

それは老若男女共に「平等」を謳う日本では「不公平」に当たる考えです。

 

道路というのは「公共の場所」である以上、運転が下手な人もいれば急いでる人もいます。

しかし、運転が下手だからという理由で一時停止を無視したり右車線に居座ったりするのは勿論のこと同様に急いでいるからといって無闇やたらに煽ったりしたり飛ばして良い理由にはなりません。

 

道路交通法の定義とは「交通の安全」だけでなく「円滑な交通を図る」という目的もあります。

 

その為には国民が運転意識というものを持ち、正しい知識のもとハンドルを握らなければなりません。

 

私はこの記事を読んだ人にはわかると思いますが文才という物がありません。従って、発信力というものが無い。だからこのブログの記事もただの端くれに過ぎないと思います。ですが、少なくともこの記事の内容に共感出来ると思って頂けたら是非拡散して頂ければと思います。

私の考えた内容が正しいか誤っているかは分かりませんが、この「現状」を変えなければならないということは間違いないと思います。

なのでご指摘や訂正等のコメントも全然構いません。

但し、誹謗中傷だけは辞めてくださいね。

 

あやめさんでした。